http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20190114/5030002989.html
※NHKローカルニュースは元記事が消えるのが早いので御注意を

国の天然記念物ツシマヤマネコの保護や繁殖などに取り組んでいる「対馬野生生物保護センター」が、
事故で死んだヤマネコの精子の凍結保存に初めて成功しました。
これによって、野生への影響を抑えながら種の多様性を確保する人工授精の研究が進むことが期待されます。

国の天然記念物のツシマヤマネコは、長崎県の対馬だけに、およそ１００頭が生息していると推定されています。
絶滅のおそれが極めて高いことから、環境省などが生息域での保護のほか、
飼育しているヤマネコを複数の動物園に分散させて繁殖を進めていますが、
遺伝的な多様性を確保するためにも人工授精の技術を確立することが課題となっています。

こうした中、「対馬野生生物保護センター」は、野生への影響を最小限にしながら
繁殖のためのヤマネコを確保しようと、交通事故で死んだオスのヤマネコの
精子を凍結保存する試験を初めて行い、１３日に開かれた専門家などによる検討会で結果を報告しました。

それによりますと去年８月、対馬市で交通事故で死んだヤマネコから精子を取り出して
マイナス１９６度の液体窒素入りのタンクで保存し、およそ５か月後の今月４日に融解したところ、
高い生存率を維持することが確認できたということです。

精子の凍結保存の成功によって、人工授精の研究が進むことが期待され、
センターでは、さらにサンプル数を増やしていくほか、
共同で研究を行う機関を探すなど繁殖事業を進める予定です。

「対馬野生生物保護センター」の山本以智人上席自然保護官は
「できるだけ野生のツシマヤマネコに影響を与えずに遺伝子の多様性を確保できるという意味で、
今回の結果は保護や増殖の事業を進めるうえでの非常に新しいツールになると考えています」
と話していました。

01/14 09:48